任意整理と住宅ローンについてのまとめ
住宅ローンの基本は、審査ポイントや種類を把握することから始まります。 これをしっかり把握した上で、任意整理との影響を考えることが重要なポイントです。 今回は任意整理と住宅ローンに関する知識について、詳しく紹介していきます。
住宅ローンとは何か
住宅ローンの種類
住宅ローンとは、住宅の新築や改築、宅地取得のために銀行などから資金を借りることです。 公的融資、民間融資、フラット35の3種類があります。 公的融資の一つは、都道府県や市町村などの自治体が融資するもので、金利も自治体によって変わるのが特徴です。 自治体に居住や勤務が条件で、一定の収入額と納税滞納をしていない人が該当します。もう一つは財形貯蓄をしている会社員や公務員を対象に、5年固定金利で受けられるものです。 民間融資とは、銀行や保険会社から金利を選択して借りる方法で、一定の審査基準を通った人が受けられます。 フラット35は住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携したものです。 長期固定金利で収入と年齢の基準に通れば、借りることが出来ます。
住宅ローンの審査ポイント
住宅ローンの審査ポイントでは、年齢、収入額、健康状態などが関係してきます。 返済を終える予定の年齢には基準があり、通常の銀行は80歳未満と決まっています。一定の収入額があり、勤務先もしっかりしていると審査は通りやすくなります。 健康状態とは、団体信用生命保険に入ることができるかです。 住宅ローンを組んでいる人が亡くなった場合は、その生命保険が代わりに支払うことになるので、健康状態が著しく悪い場合は入ることができません。 また、信用度も大切になり、勤続年数が低い、返済負担率が高い、過去に未納や延滞をしている場合は注意が必要です。 信用情報機関のブラックリストも参考にするので、登録されている人はローン審査には通過しません。
任意整理の手続きをすると住宅ローンは組むことができないのか?
任意整理をするとブラックリストに載ってしまう
任意整理をはじめ、個人再生や自己破産などの債務整理を行うことで、個人信用情報機関にその債務者の情報が登録され、金融機関から一定期間借入ができなくなります。 この状態が「ブラックリストに載る」という状態です。 ただし、実際には明確な「ブラックリスト」という書物やリストがあるわけではありません。 金融機関が新規の顧客から借入の申し込みを受けた際、個人信用情報機関の登録情報を確認します。 借入の申し込みをした顧客の事故情報が、個人信用情報機関に掲載されている場合(ブラックリスト)、貸金業者から貸し付けが拒否されてしまいます。
個人信用情報機関とは
個人信用情報機関とは、貸金業者・金融機関に向けた、個人の信用情報(金融機関利用歴)を登録している機関です。 金融機関が借入の申し込みがあった際に、その顧客を審査するために閲覧・参考するものです。 支払い状況や請求額・入金履歴といった細かいものから、自己破産や任意整理など債務整理の履歴や延滞の有無など重要な信用情報まで細かく登録されています。 個人信用情報機関には、CIC(株式会社シー・アイ・シー)、JICC(株式会社に本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3種類存在します。 CICはクレジット会社や携帯電話・信販・金融機関など加盟している数は国内最大で、3つの中で唯一インターネットからでも情報が閲覧できる機関です。 JICCは主に消費者金融業者が加盟しており、KSCはその名の通り、銀行・信用金庫などの金融機関が加盟しています。
ブラックリスト載ってしまうと住宅ローンを組むことができない
任意整理を行い、ブラックリストに載ってしまうと金融業者からの借入はもちろん、一定期間住宅ローンを組むこともできなくなります。 個人信用情報機関に登録される(ブラックリストに載る)のは、債権者が受任通知を受けた時点から和解交渉が成立するまでの間であり、ブラックリストが解除されるのは登録されてから5年後です。 任意整理の一般的な返済期間は3年ですが、弁護士への着手金や報酬金も合わせると最低でも5年はかかります。 ローンを組む上で個人信用情報は非常に重要な要素ですが、高額支払いを長年にわたって続けなければならない住宅ローンの場合、審査は更に厳しくなります。 本人の年収や勤務先・勤続年数はもちろん、信用情報に加えて公共料金・年金などの滞納の有無なども審査のうちに入ります。
任意整理をしても家族には影響ない
任意整理をしてブラックリストに載るのはあくまで本人だけであり、配偶者や家族には影響がありません。 たとえば、夫が任意整理をしても妻がローンを組む分にはブラックリストの影響は全くなく、借入を申し込むことができます。 影響が出るとすれば、妻が夫の住宅ローンの保証人になっていた場合です。 しかし、その場合も保証人を両親など他の家族に依頼したり、ブラックリストから登録が消されるのを待ってから、改めて申し込めば問題ありません。
任意整理をすると現在返済中の住宅ローンへ影響が出る?
任意整理のメリットは対象を選べること
債務整理の種類である個人再生や自己破産は、債権者を選ぶことができません。 例えば複数の消費者金融から借金をし、さらに住宅のローンがあった場合、個人再生や自己破産を行うと全ての債務が整理されます。 これに対し裁判所が関与しない任意整理は、債権者を選べるので消費者金融だけを整理し、今まで返済に充てていた分を住宅ローンにまわすことが可能になります。 財産として残したい住宅を省き、無担保の借金だけを整理できることが任意整理のメリットの1つと言えます。 また、友人や会社から借金をしていた場合は、個人再生や自己破産だと一緒に整理されてしまうので返金されませんし、会社に損失を与えてしまう可能性もあります。
住宅ローンと同じ銀行のカードローンを任意整理しても大丈夫
住宅ローンの支払いと同じ銀行のカードローンを使用している方もいるかと思います。果たして銀行のカードローンだけを任意整理した場合、住宅ローンへの影響はないのでしょうか。 銀行のカードローンと住宅ローンは、別物として扱われるのが通常なので問題はありません。 しかし、任意整理をすると銀行口座が凍結してしまうため、住宅ローンの返済は銀行窓口に行って現金払いをしなくてはなりません。
ただし、住宅ローンを任意整理すると抵当権が実行される
銀行や信用金庫などの金融機関は住宅ローンを貸すときに、その土地や住宅に抵当権を設定します。 抵当権とは、契約者が住宅ローンを支払えなくなった場合に土地や住宅を担保として確保しておくことです。 どうしても返済不可能となったら抵当権を実行し、競売にかけることで債権を回収するのです。 返済中の住宅ローンを任意整理しようとすると、抵当権を実行されて住宅を手放さなければいけません。 ですので、住宅ローンの支払いが難しくなった場合、まずは銀行に返済方法の相談をしてみましょう。
任意整理後に住宅ローンをが組める期間について
任意整理から15年間は住宅ローンを組むことが出来ない
借金の返済が困難になって任意整理を検討しているとき、「もう住宅ローンを組めなくなってしまうのではないか」と不安になる人もいるでしょう。 債務整理を行うと個人信用情報に事故情報が登録されてしまうため、新規ローンを組むことができなくなります。 任意整理の場合、この事故情報が抹消されるまでの期間は5年間とされているので、一般的に5年間は住宅ローンを組めなくなります。 個人信用情報を管理している信用情報機関は複数あり、5年という期間の細かい設定条件はそれぞれ異なります。 また、住宅ローンの審査の基準は、申し込みを行う金融機関によって異なるため、5年間という期間はあくまでも目安と考えておく方がいいでしょう。
ブラックリストから情報が消えていれば住宅ローンを組むことができる
クレジットカード、キャッシング、ローンなどの契約を行ったときに、借り手を識別する情報や契約の内容、返済状況などが登録されたものを、個人信用情報といいます。 個人信用情報は、契約を行った金融機関から信用情報機関に送られ管理されています。 任意整理を行うと個人信用情報に事故情報が登録され、各金融機関で共有されることになります。 これがいわゆる「ブラックリストに載る」という状態です。 金融機関は、この個人信用情報をもとにローンの審査を行っているので、ブラックリストに載っている人は住宅ローンを組むことができません。 しかし、任意整理の場合は約5年間で個人信用情報から事故情報が抹消され、ブラックリストが解消されるので、その後は住宅ローンを組むことができるようになります。
自分の個人信用情報を確認する
いざ住宅ローンの申し込みをしたいと思ったとき、ブラックリストが解消されていなければ審査には通りません。 任意整理の場合は5年間で個人信用情報から事故情報が抹消され、ブラックリストが解消されることになります。 個人信用情報を管理している個人信用情報機関によってその設定条件に細かい違いがあるので、5年間が経過したと思ってもその時点で間違いなく自分がブラックリスト解消された状態なのかどうか、しっかり確認しておく方が大切です。 個人信用情報は、個人信用情報機関に開示請求することができます。 窓口はもちろん、郵送やインターネットでも行えますが、手数料や手続きに必要なものはそれぞれ異なるので、事前に信用情報機関に問い合わせるなどして、きちんと準備して行いましょう。
任意整理後に住宅ローンを組む場合のコツ
家族名義で住宅ローンを組む
任意整理を行うとブラックリストに載るため、事故情報の記録が更新されるまでは新規のカードを発行することはもちろんのこと、住宅ローンの申し込みもできません。 ですが、それでも住宅ローンを組みたい場合は家族名義で行う方法があります。 というのも、自分本人がブラックリストに載っても、家族の信用情報には何ら影響を及ぼさないため、問題なく住宅ローンを組むことができるからです。 注意点として、家族の方にローンを組むのに十分な収入がない場合、連帯保証人になることを求められます。 ですが、ローン審査時にはその連帯保証人の信用情報も見られますので、任意整理後ブラックリストに載っていることがわかれば、連帯保証人になることが難しくなってしまいます。
利息が高い住宅ローンに申し込む
任意整理を行った後に住宅ローンを組みたい場合、金利が低い住宅ローンに申し込むよりも、高い住宅ローンに申し込む方が審査は通りやすくなります。 低金利の住宅ローンは人気が高い分審査も厳しくなってきますので、任意整理後に申し込んでも審査が通らない可能性が高くなります。 ですが、金利の高い住宅ローンの場合その分審査も易しくなり、十分な頭金を用意して、支払い能力があることをアピールできれば、任意整理中であっても住宅ローン審査に通る可能性が少なからず出てきます。 一般的に任意整理後5年間はブラックリストに載っているため、住宅ローンの審査が通ることは非常に厳しくなりますので、この期間の間にしっかりと住宅ローンに向けた貯蓄を行うことが大切です。
任意整理していない金融機関の住宅ローンに申し込む
任意整理後に住宅ローンを申し込む場合、任意整理をしていない金融機関を選ぶことが重要です。 任意整理後、5年経つと個人信用情報から事故情報が削除され、住宅ローンに申し込むことができるようになりますが、任意整理を行った金融会社の場合は異なってきます。 各金融会社は独自のブラックリストを保管しており、信用情報機関の事故情報が更新された後でも、何十年と情報を保管している場合があります。 そのため、任意整理を行った金融機関からは任意整理後5年間経ってもローンを申し込むことはできず、最悪一生ローンを組めないということも起こりえます。 また、関連会社とも事故情報は共有されているため、同列系の金融機関には住宅ローンを申し込むことができません。 そのため、任意整理を行っていない金融機関から住宅ローンの申し込みをすることが大切です。
収入合算やペアローンに申し込む
任意整理後に住宅ローンを組みたいが、自分の収入に不安があるという方は、収入合算やペアローンに申し込むことがオススメです。 収入合算の場合、自分が住宅ローンの名義人となりますが、自分の収入に配偶者の収入を加えることができ、住宅ローンの借入金額を増やすことができます。 この場合、配偶者は連帯債務もしくは連帯保証人になることが求められます。 次にペアローンの場合ですが、自分本人が住宅ローンの名義人になる収入合算と異なり、夫婦それぞれが名義人となり住宅ローンを2本組んでいきます。 ペアローンのメリットは収入合算と同様住宅ローンの借入金額が増えるだけでなく、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられることです。 また、夫婦は互いの連帯保証人になることが求められ、返済の責任を負うことになります。
まとめ
住宅ローンを組む際には借り入れの返済履歴をチェックされます。 何かしらの滞納があれば、審査が通らない可能性があります。 特に任意整理をしていれば、その返済を終えて5年間は住宅ローンを組むことは不可能となります。 また任意整理による借り入れの返済が終わった後も、何かしらの返済実績がなければ住宅ローンを借りるのは難しくなります。 ただし、すでに住宅ローンを借りて返済している場合には、任意整理の対象から外すことで特に影響は起きません。 そのまま返済を続けることができますし、住宅にも住み続けることができます。 またローンを組んでいる銀行のクレジットカードを任意整理によって返済を減額しても、何も影響は無いので心配は不要です。 ただし住宅ローンを任意整理してしまうと、抵当権を行使されて住宅は処分されるので注意がしてください。
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